HOME CRAFT PERSON No.7 アクセサリー職人×装飾デザイン 松崎有加(原村)

八ヶ岳には一年を通してたくさんのイベントが開催されている。その中でも個性溢れる作品を披露しているのがアクセサリー工房ALIKA accessoryこと今回のインタビューイー松崎有加さんである。

本職は貴金属を使ったアクセサリー職人。ところが、持ち前のヒラメキによって、北欧のチャームである「ヒンメリ飾り」、はたまた大工さながらにとんかちを持ってオリジナルの額を作り「お花のフレーム」を出品している。八ヶ岳は岡谷出身の松崎さんが、現在の取り組みに至るまでのお話しを伺った。(以下、敬称略)

この手からたくさんのアクセサリーが生み出される

スポーツ少女だった学生時代、が…?

松崎さんは本職がアクセサリー職人ということで、昔からジュエリーなどに興味を持っていたんですか?

松崎:いや~私は小学校からバレーボールをずっとやっていて。そこまでバレーが大好きなわけじゃなかったけど、母がママさんバレーに入っていたことがきっかけで、小学校・中学校・高校までバレー少女だったんですよ。でも、小さい時から〝自分の手で何かを作りたい〟と思っていました。

高校までしっかりバレーボールをやり遂げて、いよいよ進学という時に、やっぱり美術系に進みたいと自覚して…そこから方向転換。専門予備校に通って美大に進みました。美大では最初グラフィックデザインを専攻していたんですけど、手を使いたいのとアクセサリー作りに興味があったのとで、東京のアクセサリーデザイン会社に就職しました。

でもね(笑)
最初の仕事は自分が思っていたものと違って、すぐ辞めちゃった!それでもやっぱり自分の手を使いたくて、ウィンドウディスプレイや垂れ幕などを作るイベント装飾会社に入りました。

AKIKAのショップカードとピアス

過酷な仕事、その先に…

松崎さんのヒンメリ飾りなどを見るとイベント装飾会社にいたことは納得です!いまのベースになってそうですね。

松崎:この会社には6年在籍していました。終電まで働いて始発でまた仕事に行くのは当たり前。すごくハードだったけれど、自分が作ったものがTVに出たり、華やかなイベントで使われたり、満足感はありました。過酷な職場で十分働いて、もうそろそろ次に行くときかなと仕事を辞めたときに、当時住んでいた最寄りの駅の近くにアクセサリー工房があったんですよね。

〝そういえば私、アクセサリー作りたかったんだよな~〟と、工房が開催していた教室に通うことになりました。そこから店番をするようになって、ついには仕事をくれるように。。。ここでアクセサリー作りが好きなことを再確認しましたね。

ALIKA accessory の原型ですね。八ヶ岳に帰ったのはどうしてですか?

松崎:実は、たまたま地元で集まった高校の同窓会メンバーの中に、いまの主人がいたんです。定期的に帰省する度に集まるようになって付き合うようになりました。彼は今更自分を良く見せようという相手じゃなかったんですよ。高校時代の刈り上がってる頭の私も知ってますしね(笑)安心感ってこういうものかなぁと自分が楽になって、結婚し地元に戻りました。
でも、そこに至るまでは遠距離で、しっかりと地元でも仕事ができるように準備しましたね。

そのくらい当時は自分のやって来た仕事が八ヶ岳には存在していなかったんです。だからこそ、頑張ればこっちでもチャンスはあるかなと。しばらくは東京の師匠の仕事を請け負ったりもしていました。

インテリア雑誌愛読→ヒラメキと共に!

見事なヒンメリ飾り!

松崎:八ヶ岳に帰ってからしばらくは、子育てと請負のアクセサリー作りでいっぱいいっぱいでした。その後、家を原村で建てることになり…とにかくありとあらゆるインテリア雑誌を読み漁るようになりまして。たまたま見た雑誌の中にヒンメリが掲載されていたんです。

〝これは何?すっごい素敵!〟

もう気になって仕方なくて、調べていくとヒンメリと呼ばれる北欧の伝統的な装飾(モビール)だとわかったんです。そこからは早かった(笑)

家造りのための雑誌がきっかけなんて!装飾で手仕事ならもってこいですね。

松崎:材料に使う大麦は叔父からもらい、作り方もマスターして、当時住んでいた住宅に飾っていました。単純に見た目がとても素敵だから、アクセサリーでイベント出店するときにブースを飾ってみたんですよ。そうしたら、それが欲しいという方がポツポツ現れて…。

「これ(ヒンメリ)は作れますよ」

と提案すると、今度は「作ってみたい」と。そこから自然な流れでワークショップも始まりました。自分が欲しい〜!という一身で作れるようになったヒンメリが仕事の大きなパーツになるなんて。

完成前のお花のフレーム、出番はまだ先

お手伝いから、さらなるヒラメキへ!

クリスマス・お正月シーズン、またお花が大好きな人に大活躍のお花のフレームはどのようにして生まれたんですか?

松崎:まさか自分が木を使うとは思ってなかったんですけどね、花農家の友人のハウスでお手伝いに行っていたとき、数年前にファーマーズマーケットの出店にも出たんです。そうしたら、お花好きな方がたくさんいることを知ってびっくり。そのときに閃いたんですよね。インテリア雑誌のおかげでもあるんですけど(笑)、〝これこれ、こういう風に作れば、お花のお世話が苦手な人でも綺麗に飾れるぞ〟とイメージができてしまって。

美大出身の人って頭の中が3Dですよね(笑)

お花のフレームにポットを入れるだけ!

松崎:ハウスのお手伝いをしながらお花の扱い方を知ったことで、ポットそのままを額に入れるだけで花の絵画のようにできるフレームが生まれました。父が建築関係だったこともあって、フレームを父と作ったりして、父の張り合いにもなってるかな?

アーティストでなく職人として

貴金属のジュエリー、ヒンメリ、お花のフレーム、どれもアクセサリーですね!

松崎:そうなんですよ、私は「自分の作品を売ります!」というアーティストタイプではなくて、手にとってくれた人の生活を楽しいもの、華やかなものにする技術者を目指しています。例えばジュエリーなら「この人に頼めばこれが完璧に直してくれる」とか(笑)あったら日常が少し素敵になる、そんなものを提供したいんですよね。

でも、ジュエリーだけを工房(家兼工房になっています)で一人きりでやっていたら、きっといろんなヒラメキにも繋がってなかったと思います。

八ヶ岳はある意味イベント天国ですよね。

地元に戻って来た当初はこんなにイベントに出ることになるとは思ってもみなかったですよ。でもアクセサリーを作って家でお客さんを待ってるだけじゃ仕方ない。八ヶ岳に来て、いろんなイベントに声をかけてもらえて、お客さんや出店者さんとの交流でとっても救われたんですよ。180度変わったと言ってもいいくらい。売る側、お客さんとしての出会いが、仲間になったりして。それが遊びでなく真剣にできる、その流れに邁進するだけですね。

自分の持てる力の最大を生かして、なんでもやってしまう松崎さんのお話は終始一貫していて小さい頃から職人だったかのよう。とても説得力があり、松崎さんに任せたいというお客様がいっぱいいるのだろうなと思えました。貴重な機会をありがとうございました!

取材:8mot編集長みっちゃん

松崎有加さんのALIKA accessoryについてはこちら

ワークショップ情報

デリ&カフェ「K」にて、12月5日に「ヒンメリオーナメントワークショップ」、13日に「ヒンメリしめ飾り作りワークショップ」を開催します!

Profile

松崎有加(まつざきゆか)

岡谷生まれ、原村在住、二児の母。
美大に進学後、商業装飾会社に勤務。その後アクセサリー職人として修行を積み独立。現在、ALIKA accessory工房を主宰し自宅の工房にてジュエリーのデザイン、制作、修理、販売を行なっている。アクセサリーの枠組みを広げ、ヒンメリ作りや花のフレームの販売・ワークショップを開催している。
ハチガイドの講師にも登録されている→ https://8guide.jp/guide/

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