なんだか「閉店セール商法」のようになってしまいましたが、今度こそ本当の最終回、
テーマはズバリ「補助金」です。
この制度は「国や自治体が公益性を認めた活動に対して、その活動資金の一部を給付する制度」です。もちろん「公益性」を認めてもらうには、事業内容をまとめた申請書を作成し、審査に通らなくてはいけません。
ここで疑問を感じるのは審査をするのが「国や自治体」である点です。
前編でも触れたように、近年、国のような大きな組織や公共機関では気づけないような、多様なニーズが次々と生まれています。
例えば、ある団体が「この子たちには、この支援が、今すぐ必要だ」と訴えたとします。そういう市民の声をすくいあげることができなかった「国や自治体」が「審査」をするのですから、「ピンと来ない」なんてことが多々起こりえます。
すると運営者は、どうしたら「審査に通りやすいか」といったことに知恵を絞るようになります。その証拠に補助金申請をテーマにしたセミナーなどが、各地で開催されています。
でも、これっておかしくないですか?
第一に、「国や自治体」が、すでに必要性を認識しているならば、「公共サービス」で提供すれば済む話ですし、無ければ整備すればいいのです。むしろ「国や自治体」が「ピンと来ない」ような部分にこそ、支援を届けるべきニーズが隠れているのです。
第二に、運営する人たちは本業の合間に活動していることも珍しくありません。本来、困っている利用者にかけるべき手間を削り、煩雑な申請や報告の手続きに追われるとすれば、まさに本末転倒です。
第三に、申請の時期が限られていたり、手続きに時間がかかったりすると、支援すべき時機を逸してしまう可能性が高くなります。
そこで、私が提案したいのは、福祉や教育などに特化した「バウチャー制度」です。
「バウチャー」とは、「目的を『限定』して『個人』に支給するクーポン券」という意味です。つまり、現在、「サービスを提供する側」に支給している補助金を、「援助を必要としている個人」に直接、支給できる仕組みです。
とはいえ、全ての補助金を止める必要はありません。最低限は維持しつつ、その比率を思い切って下げ、その分を「バウチャー」に移行すればよいのです。
もちろんお金の流れも大きく変わりますが、ポイントは「行政」「活動団体」「利用者」の意識がガラッと変わることです。
まず、「活動団体」は「行政」を過度に気にする必要がなくなります。活動が評価され安定して「利用者」が訪れるようになれば活動資金も増えていきます。人員の増強や環境の改善も独自の判断で行えます。補助金だと申請後の使途変更は、ほぼ不可能です。
例えば、補助金で「子ども食堂」を開催したとします。「子ども無料。大人一律200円」とすると、一般の人も「困っている人」も負担が同じになってしまいます。そこで、一般の人のみ有料とすると、「困っている人」は、逆に参加しづらくなるでしょう。ならばと「全員無料」にすると、利用者が増え、活動が順調なほど活動資金は足りなくなるという「ジレンマ」に陥ります。
そこで、「バウチャーポイント」のような電子決済を採用し、その機能を最大限生かすことを提案します。
「行政」や「活動団体」は、ポイント履歴からリアルタイムで利用状況を把握し、その傾向を分析することもでき、活動の評価や改善にも活かせるはずです。また、紙のクーポンと違い、電子決済端末さえあれば、誰でも同じ手順で支払いが完結するので、利用者の心理的なハードルも下げられます。
このような考え方は、決して絵空事ではなく、すでに多くの国々、日本の一部自治体などでも、さまざまな形で導入されています。
デメリットが全くないわけはありませんが、割合を微調整しながら試験的に導入してみる価値は充分あると思います。
さて、みなさんは、どう思いますか?
ということで、いよいよ授業時間も残りわずかとなってきたようです。
「地球」を中心にして宇宙を眺めるか…
「太陽」を中心にして宇宙を眺めるか…
「どちらが正しいか」ということも大切なのですが、それ以上に「常識にとらわれない視点」や「新しい考え方を受け入れる遊び心」のようなものを、少しでも意識することができれば…
これまで「当たり前」と決めつけていたものとは、少し違った「星空」が頭上に広がっているかもしれません。
一年間、みなさんの「いいね」や「コラム、読んでますよ」という声に支えられ、ハチモットのみっちゃんには「今回も最高!!」と、いつも、だれよりも誉めてもらい、なんとか、全ての授業を終了することができそうです。
最後まで読んでいただき、そして、このような貴重な経験をさせていただき、
本当にありがとうございました。