HOME CRAFT COLUMN 5縫目「言葉の壁?!」

デンマークでの留学生活は基本的には毎日が“ヒュッゲ”な時間でした。

が!

留学ならではの言葉の壁にぶつかることも・・・

ある日の織りの授業の時のこと。

織り部屋

先生は副校長のAnemette(アンナメッテ)

Anemette

いつも穏やかで、生徒たちを優しく包み込むような空気を持ったすてきな先生。

「アンナメッテ、このデザインをやりたいんだけど、どうしたらいい?」

「じゃあ、まずこれに、必要な本数の経糸を巻いて。」

英語で説明してくれたんだけどあまり聞き取れず、わかったような、わからないような。

とりあえず巻いてみよう。

整経台

「これ何本巻けばいい?」

「1000本かな。」

「1000本???!!わ、わ、わかった。がんばる!」

「いち・・・に・・・さん・・・」

周りのみんなも、同じく糸を巻く作業。

整経台全体

一本一本数えながら、全部で1000本!数えました!

一日かけて!織りは、糸の準備がほんとうに大変なんです。

「アンナメッテー!できたー!全部巻けたー!!」

「・・・oh・・・」

????

「ゆり、これ巻き方が違ってる・・・」

「え??・・・うそ・・・」

「もう一回巻き直さないと。明日もあるから、明日またやり直しましょ。」

「おーまいがー」

一日かけて巻いた1000本の糸を、また一本一本ほどいていく虚しさ・・・

そして、心の乱れは糸の絡まり具合に直結する。

ほどいていく途中で、どうしようもないくらい絡まって

また凹む

先生の説明がうまく聞き取れなくて、でも理解するまで何回も聞くということができなくて、なんとなくでやってしまいこんなことに・・・

クラスメイトとの会話の中でも、あーこのこと伝えたいのになんて言ったらいいんだろう?

わからないから言うのやめておこう

とか。

そういうのを繰り返していると、ずっと何かつっかえてる感じがしていました。

でもみんなと一緒に過ごしていくうちに、そんなことも気にならなくなり、間違っていてもとにかく言葉を発するように。

しかも、必死で伝えようとするので、言葉の吸収率も高くすぐ覚えられる!

なにより、きちんと聞こうとしてくれる先生やクラスメイト、みんながいるからなんだろうなー。

そんなこんなで言葉につまずくことはあれど、大らかなデンマーク人と、大好きな手芸と、ティータイムと、朗らかでヒュッゲな毎日が過ぎていきました。

デンマーク語で書かれた、織りの説明。
初めはほとんど理解できなかったけど、だんだんとデンマーク語もわかるように。

織り糸。素材は綿、麻、毛など天然素材のものが多い。

作業風景。

織り教室から見た、景色。

Card Weavingという種類の織り。
手で持っているカードをくるくる動かして、織っていくもの。

放課後によく散歩した、近所のフィヨルド。

学校の庭。晴れた日には、洗濯物を干したり。

町並み。

外で授業をすることも。
これはカゴ作り。

週末は、子ども向けのワークショップも開催。
それ以外にも、近所のおばあちゃんやが集まって、いろんなワークショップをやっていました。

日本にもこんな場所があったらいいなー。

もっとこの学校のこと知ってもらいたいなー。

留学中いつも意識していたのは、ここでの経験を活かして、帰国後は絶対に好きなことを仕事にしたい!!

ということでした。

ただ、この時はまだ何をするかは見えてなかったのですが、日々を過ごすにつれ少しずつ考えるように。

好きなことはあるけれど、一体それで何がしたいんだろう?

次回へ続く・・・

今月の手芸くらしなもの

織りの授業で作ったストール。
昔から北欧に伝わる伝統柄。

唐戸友里
服飾系の高校・専門学校で学び、その後、デンマークの手工芸学校へ留学。
帰国後、すこしずつ活動をスタート。
作品展示・販売の他、刺繍の講師も務める。
2018年に横浜から下諏訪へ移住
現在、地域おこし協力隊として活動しつつ、教室OPENに向け準備中。
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