HOME CULTURE & LIFE COLUMN Vol.3「秋雨のあいまに運動会」

座っていたのはいいけど、せめて応援しよう…笑 @尽日舎

今年の秋はよく雨が降る。

先日、ムスメの運動会があった。
秋雨で一日順延となり、やる気が削がれてしまうのではと内心ヒヤヒヤしたものの、当日は朝から程よく気合が入り、そんな心配も杞憂に終わった。

小さい頃から比較的「本番に強い」ムスメなので、近頃ではさほど心配することもなくなったけれど、それでも多少ドキドキする。そして今回の運動会ではこれまでと明確に違ったなと感じることがあった。

どの競技に出て、どれに出ないかを、先生と話して自分で決めたことである。

ムスメがどうしても出たくないと言ったのは「騎馬帽子取り」いわゆる「騎馬戦」だった。これは4〜6年までの高学年女子が騎馬を組んで帽子を取り合うもので、これはどうしてもイヤだと譲らなかった。まあ・・・怖いと感じる気持ちもわかないでもない。

実は最近これ以外にも学校の行事を嫌だということがポツポツ出てきた。今までだったら最初は気が乗らなくても次第に気分が乗ってきて最終的には楽しめた! ということが多かったのだけれど、そうはいかないこともチラホラ。理由を話してくれればいいのにと思うが、ムスメの場合はなかなかそうもいかない。イヤだと思う理由をうまく言葉にできないのか、そもそもイヤな理由が自分自身でもよくわからないのか、どっちだろう。

でもきっとこれからはそういうことも増えてくるのかなと思い始めたところでの、この「騎馬戦拒否宣言」。「いいよ」と言うのは簡単だけど、本当に出なくていいのか、その場合競技以外の役割をやるか、応援席で応援するのか。先生とも、私たちともよく話しをした。

これまでも「何を食べたいか」「どっちがいいか」といった比較的小さなことはムスメの意見を聞いてきた。そうした中でも「これがいい」「これはいらない」「これはいや」と言った意思表示はできていた。

ただ、前述の通り、彼女は「なぜ」にうまく答えることができないので、面倒くさくてやりたくないのか、お友達がやらないからやらないのか、本当にやりたくないのかを判断するのはとっても難しい。

今回は何度かの練習を見た後、家でも「騎馬戦怖いから、イスに座っています」と話してくれた。本当はみんなと一緒に出られるのが一番なのかもしれないけれど、得手不得手は誰にもあることだし、それを自分で考えて負担になりすぎないように決めていくのも、彼女がこれから生きていく上でとても大事なことなんだなと改めて思った。

運動会が終わってまた雨が続いている。そんな中唐突に倒立の練習をするようになった。どうやら来年の組体操はやる気があるらしい。取捨選択の基準はよくわからないけれど、ムスメがやりたいと思うことがたくさんあって、それが一つ一つ叶っていくといいなぁと願っている。

イラストレーター、グラフィックデザイナー、ライター
田中ゆきこ
静岡県出身、1995年、高校2年の秋に八ヶ岳に移住。標高1300mの森の中在住。
小さい頃から絵や文章を書くのが好き。全く違う勉強をしてきたはずなのに気づけば絵や文章に携わる仕事ばかりしている。グラフィクデザイナー、編集者などを経て「尽日舎」を設立。印刷物のデザインやイラスト作成、記事、コピーの作成などを手がける。
二児の母。次女は妊娠24週、720gの超低出生体重児として生まれ、「広汎性発達障害」「自閉症スペクトラム」「中度知的障害」を持つ。田舎で働きながら障害児を育てることの難しさを痛感することもあるが、八ヶ岳でしか味わえない「子供時代」を過ごさせてあげたいと奮闘中。
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