HOME CRAFT COLUMN 8縫目「卒業展示!!」

「よっ!」

コペンハーゲン国際空港の到着口で、背の高い欧米人の中に紛れて小さい人が・・・

手を挙げてこちらに向かってくる、私の母。

なんと、卒業展示を見るために日本から来てくれました。

刈上げたショートヘアーに、細身のパンツ、怪しげなサングラス姿で登場し、久しぶりのコペンハーゲンに大はしゃぎ!

実は初めてのデンマークではなく、以前に親子2人旅行に来ていて、7年振りです。

久しぶりのデンマークにうれしそうな母。よかった~!

次の日、電車を乗り継いで学校へ向かいます。

が、しかし!ハプニングが!

突然、電車が止まって、アナウンスが何も流れません。

まわりの乗客は慌てる素振りもなく、普通に穏やかに過ごしているのですが・・・

しばらくすると乗務員が電車に乗ってきて

「はい、降りて~。」

とアナウンスを始めました。

訳も分からず降りて、隣の電車へ移動するように誘導されます。

そして何事もなかったように、出発。

おかげで乗り継ぎの電車を逃してしまいました・・・。

デンマークではわりと日常茶飯事な出来事なのですが、いつも何が原因で止まったのかよくわかりません。

周りのみんなも聞かないし、朝の通勤時間でも誰も怒る人はいませんでした。

なんとも大らかな国民性!

デンマークで生活をしていると、大抵のことに「ま、いっか。」と寛容に受け止められるようになります。

時間はかかってしまったものの、無事に母を連れて学校に到着。卒業展示の前日です。

先生やクラスメイトに紹介し、夕食のため食堂へと向かいます。

学級委員のようにしっかり者で気さくなサラが母に声をかけます。

サラ「日本からここまで来るのにどのくらいかかったのですか?」

母「ベーリーベリ ロング!!!」

サラ「Oh…大変でしたね。お疲れですよね。」

母「アイム ノット タイアード!オーケー!グー!」

このジャパニーズイングリッシュで、ノリだけはアメリカンな母は、すぐその場に馴染んでいました。

恐るべし。

展示当日の朝はいつもと違い、バタバタと慌ただしくなりました。

いつもは静かな小さな町も、この時ばかりはツアーバスも出るくらい、デンマーク各地からいろんな方々がやってきます。

入口付近で、来てくださる方々に挨拶をしていた時のこと。

ふと、受付に並べられたパンフレットに目をやると・・・

!!!!!!!

私が、学校の新しいパンフレットの表紙になってる!!!!

え?!何で?!

訳が分からず、校長先生に聞きにいくと、

「載せちゃった!えへっ!」というような雰囲気でニコッと笑って、「オーケー??」と私に一言。

もう載せちゃったし、配っちゃってるし、事後報告だし・・・。ノーと言えるわけがありません。

こんなところも、この学校らしいです。

でも、恥ずかしさはあったけど、すごく嬉しかった!良い記念になりました!
(ちなみにこの後5年間ぐらいパンフレットは更新されることなく、つい最近まで使われていました・・・)

卒業展示は大盛況で、わざわざ日本から来てくれた母も、ワークショップに参加したり、

大満喫してくれたみたいで、本当に良い一日でした。

卒業まであと一週間!

この学校に来て、ゆったりのんびり過ごして、好きなことをやりたいようにやらせてくれて、そんな充実した毎日もあと少しで終わってしまうーーーー!

思い残しのないよう!!

次回はいよいよ卒業です。最後まで大事なティータイムを忘れない、涙涙の卒業式です。

【今月の手芸くらし】

先月、下諏訪町にあるしごと創生拠点「ホシスメバ」で行われたマルシェに出店したときのものです。

山をテーマにブローチを販売させていただきました。

唐戸友里
服飾系の高校・専門学校で学び、その後、デンマークの手工芸学校へ留学。
帰国後、すこしずつ活動をスタート。
作品展示・販売の他、刺繍の講師も務める。
2018年に横浜から下諏訪へ移住
現在、地域おこし協力隊として活動しつつ、教室OPENに向け準備中。
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