2017年春より、大工の夫と共に「くらしまわり」をスタートさせる。おいしく食べること、丁寧に暮らすことの面白さを提案している。不定期でお料理教室を開催予定。
こんにちは“くらしまわり”山越典子です。
藤森建築が好きになり過ぎ、藤森さんに設計の依頼をした私。
お返事がないまま、閃きに従い藤森さんの故郷である茅野市に移住してきちゃいました。
詳しくは
藤森旅館へつづく道 第1歩「雷に打たれた日」
藤森旅館へつづく道 第2歩「いざ!!長野へ」
藤森旅館へつづく道 第3歩「藤森さんとご対面」
藤森旅館へつづく道 第4歩「棺桶にはいるとき、私は」
藤森旅館へつづく道 第5歩「嘘も方便、お茶会にいく」
藤森旅館へつづく道 第6歩「告白のとき」
藤森旅館へつづく道 第7歩「何度も何度も」
藤森旅館へつづく道 第8歩「追っかけ入り待ち」
始めたお店“おいしい家”はおかげさまで良い感じ。
毎日たのしく、毎日忙しく、日々が過ぎていきます。
茅野にもお友達や知り合いが増えて、充実した毎日を過ごしているのだけど・・・
さっぱり、藤森さんから告白の返事はないまま。
何をしに茅野にきたんだ?
いい加減どこかで諦めないといけないの?・・・との思いも芽生え始めた頃。
「お店にご招待しよう」
こんな時に、いつも頼れるのは茅野市美術館学芸員の前田さん、
助け舟を借りて、藤森さんが茅野に帰省してくる情報をキャッチ!
これは逃せない!!
と言う事で、お店は1ヶ月ほどご予約を受けない状態で
いつ藤森さんが来ても良い様に待機状態(笑)
そして満を辞して、藤森さんに電話をかけます。
藤森さん「もしもし」
私「もしもし、大畑です(旧姓)お店に来てもらいたくて、ご都合はいかがでしょうか?」
※事前に前田さんから大体の内容は伝えてもらっていました
藤森さん「いいよ、13日なら大丈夫」
私「12時頃で良いですか?」
藤森さん「いいよ、迎えにきて」
私「は、はい、いきまーす!!」
ひや~、遂にお店にやってくる!(自分が招待したくせに)
こんな日がくるなんて~(藤森さんの為にやっていると言っても過言はないお店なのに)
お~すご~~(自分が誘ったのに)
と心の中は大忙し。
さて、これまでの状況を整理します。
「藤森建築で宿がしたい、どうぞ設計してください!」
と告白にも似た企画書を藤森さんに渡したのが8年前。
返事を待ちます、が、なんの連絡もありません。
そして、またアタック!
返事無し!
もっと近くに行かなくては、と穂高から茅野に移住!
諦めてません、とまたアタック!
返事無し!
またアタック!
返事無し!
この間に3年が経過。
・
・
・
あれ?もしかして振られてる?
恥ずかしいー、移住しちゃったやん。
このタイミングでの、お店にご招待。
どんなに緊張したでしょうか?
この機会に返事を聞きたい!
ダメならスッパリ諦めよう、けじめをつける機会にしなくては。
おいしい家ご招待までのドキドキといったら・・・
前日には車の洗車、いままでに頼んだことのない車内の清掃付き(笑)
お店の掃除もいつもに増して丁寧に、年末の大掃除以上に磨き上げ、そこらじゅうピカピカに。
メニュー立て、買い出し、仕込み。
そして、ほとんど眠れずに迎えたその日!
ピカピカのジムニーに乗って、藤森さんをご実家までお迎えにいきます。
ピンポーン。
ガチャ、と扉が開くと。
目の前には麦わらにサンダル姿の藤森さん・・・
わかってはいたけど、想像以上にラフな格好(笑)
子供の頃、この近くの野山を走り回っていた頃とおんなじなんだろうな〜。
そんな姿に緊張は吹っ飛び、ほのぼのした気持ちになりお店へとお連れします。
ようこそおいしい家へ
藤森さんを客室にご案内して、食事を運びます。
まずは前菜を・・・
そして、つぎのお皿を持っていくと!
もう無い!食べ終わっている!
急いで次のお椀を持っていくと!
もうない!
食べるの早い!
一緒にご飯を食べようと思っていた私は、焦りながら揚げ物したり
汁物を温めたり。
うわ~ん(汗)
そして遂に、デザートに。
なんの話もしないまま帰してはいけない!と、
デザートは始めっから2つ用意して、ご一緒させて下さいと言って席に付きます。
蕎麦屋の話とか世間話なんかしながら、時間が過ぎていきます。
そろそろ、企画書のお話しなきゃな~。
よく考えてみれば、藤森さんの追っかけで茅野に来て、
自分の紹介になる様にと“おいしい家”を始めて、知らない土地でたくさんのお友達ができて…
今、藤森さんと一緒にデザートを食べている。
幸せなことだな。
なんか、もう設計してもらわなくても充分なのかもしれない…。
と、思っていると。
藤森さん「土地が決まれば設計しましょう」
私「え!!!!!!、はい、ありがとうございます」
嬉しいはずが、なんだか唐突なお言葉にとにかくびっくり。
その後は、旅館は大変だからまずは食べ物屋をやったらいいんじゃない?
軌道にのれば旅館もやればいいし、とのアドバイスまでしてもらい。
藤森さん、ちゃんと考えてくれてる~。(ジーン)
私「土地、がんばって探しますね!」
としっかりお約束して、藤森さんをご実家までお送りしました。
一人お店に戻ってお茶碗を洗っていると、じわじわと喜びが込み上げてきて。
ボロボロと涙がこぼれ落ちました。
そして、でっかいでっかいガッツポーズ。
「探すで~!!」
さあ、これは一つの大きな区切り、そうと決まればやることは一つ!
ながいながい第二章、私の土地探しへとつづく・・・。
次回は「ジェラシーの行き先、オーストリアへの旅」の巻
1月9日更新予定ですので、どうぞお楽しみにしてくださいね。
手にはいつも土産をもって
藤森さんをご招待、メインにしたのは長芋の唐揚げ。
いろいろメニューを迷いながら、最後はシンプルなものに落ち着く。
揚げたてをどうぞ。