HOME CULTURE & LIFE COLUMN Vol1:八ヶ岳の植物を通して・・・受け継ぐもの語り継ぐもの

はじめまして。

八ヶ岳の麓、標高 約1,000mにある畑で、農薬や化学肥料を使わずにハーブを育て、ハーブティーなどを手作りしている、
「一心一草」店主の杉野志歩と申します。

一心一草 http://issin-issou.com/

 

敬愛するKigiの波多野ゆふさんからバトンを受け取り、「ハチモット」でハーブや植物のお話をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

私が八ヶ岳に転居してきたのは約2年前。

転居してくる前は、農村暮らしやパーマカルチャーの学びで知った、”安全な農法で育てられた野菜”のことや、”小規模な有機農家の暮らしや生き方”を本や雑誌などで紹介したり、インターネットショップで有機野菜を販売するお仕事をしていました。

そして、その後は、自分自身でも農的な暮らしをしたくなり、神奈川県の端っこで田んぼと畑を借りて、米と年間80種類の野菜を育てながら、自給自足的な暮らしを送っていました。

[そのころの著書]

畑のある生活
著: 伊藤志歩(旧姓)
出版: 朝日出版社
1,260円
やさい暮らしを始めませんか。
著: 伊藤志歩(旧姓)
出版: ポプラ社
1,680円

八ヶ岳での無農薬のハーブ畑

かねてより憧れていた八ヶ岳。

原村に住む友人のご縁が繋がり、八ヶ岳の麓にある標高1,000mほどの農村地域に、小さな古民家と2反ほどの畑を借りることができたことで、念願叶って八ヶ岳に転居することになりました。

日当たりも、風通しも良いその畑では、すくすくとハーブたちが育ち、現在、畑で心地よさそうにしているハーブは70種類ほどになります。一年を通して気温が低く、湿度が低い八ヶ岳は、冷涼な気候が好きなハーブたちには居心地の良い場所のようですね。

寒い地域に向いている「真正ラベンダー」は是非とも八ヶ岳の畑に迎え入れたかったハーブで、オールドイングリッシュ、オカムラサキ、ヒドコート、ボシストたちが気持ち良さげに育っています。

ハーブの師匠から譲り受けた、浄化のハーブと言われる「ヒソップ」は清々しい香り。目の疲れに聞くと言われる「ブルーコーンフラワー」。花粉症に効果があるとされる「ネトル」はチクチクとした棘にご注意を。神経性胃炎などデリケートは方には「アグリモニー」、荒れた肌や出血に良いとされる「ヤロウ」、そして、「コモンセージ」、「カモミール」、「コモンタイム」、「オレガノ」どれもこれも紹介したくてたまりません。

アメリカ先住民たちが昔から大切にしている「エキナセア」は免疫強化に。偏頭痛には「フィーバーフュー」のハーブティーを、不眠症に効果があるとされる「バレリアン」は根が育つのを楽しみにしているハーブです。

スコットランドのフィンドホーンで出逢い、心惹かれた、「セントジョンズワート」は、サンシャインサプリと呼ばれ、抗うつの効果があると言われています。女性のマントという名前のついた「レディスマントル」は生理不順など女性特有の疾患に効果があるとされていますが、ふわふわの産毛は触っているだけで、うっとりとした気分に。などなど、、、、。

紹介したいハーブたちはまだまだ尽きないので、連載の中で一つ一つ詳しく触れていければと思います。

ゆふさんから受け継ぐもの

さて、この連載コラム、kigiのゆふさんからのバトンをいただきましたので、彼女の3月の記事を改めて読み返してみました。するとこんな言葉が。

植物は善いものを発していて、そしてその善いものは、なにか大きなものと繋がっていることをいつも感じていたのですが

私たちそれぞれがそれぞれの場所で植物と、そして植物と繋がっている大きなものと繋がることができたら、様々なことが変わっていくのだと心から思います。

そうですね、本当に。
私もこんな気持ちを繋いでいければと思いました。

植物の近くにいると当たり前のこと。
しかし、言葉にするのはとても難しいこと。

いつも植物たちは、何も気せず、ただそこにあって、そのありようには個性があって、それぞれに時期があって、私たちが通り過ぎるときに、どこかに連れていってほしそうな時があったり、摘んでほしそうな時があったり、がんとして動かない時もあったり。

私たちはその声を聞いて、必要な時に必要とされる人のところに届きやすくするお手伝いをしているだけのように思えるのです。

植物たちの、声のような声ではないような、形にならぬそんなものを、どう伝えていったらいいかしら。
そんなことを考えながら、、、

連載を進めてまいりたいと思います。

今月のおすすめ本

植物はそこまで知っている
著書: ダニエル-チャモヴィッツ1章 植物は見ている
2章 植物は匂いを嗅いでいる
3章 植物は接触を感じている
4章 植物は聞いている
5章 植物は位置を感じている
6章 植物は憶えている
> amazon

植物がいかに認知しているのかを、感覚的な視点ではなく、科学的な視点からアプローチしている本です。私自身が畑で感じるのは感覚的なことなのですが、このような捉え方や説明の仕方があるのかと、面白く感じた本です。

次回もみなさまにお会いできれば幸いです。

八ヶ岳のメディカルハーブ「一心一草」 店主
Shiho Sugino
八ヶ岳の麓で農薬や化学肥料を使わずにメディカルハーブを育て、手作りのハーブティーをつくっています
カメラマンとして働く中で、自然と自然と共に生きる人々の美しさに目を奪われ、有機農家と生活者をつなぐセレクトショップ「やさい暮らし」を立ち上げる。「やさい暮らし」を運営しながら、有機農家の生き方の紹介を通し、自然とともにある生き方や暮らし方を、紹介する講義、講演、イベント、文筆活動を行う。その後、自分自身も農的な暮らしやパーマカルチャー実践するために仕事を手放し、米と年間80種類以上の野菜を作る自給自足的な生活を始める。

ご縁があって、八ヶ岳に移住し、現在は約2反の畑で農薬や化学肥料を一切使わずに、メディカルハーブを育て、手作りのハーブティーや雑貨を作っている。

【著書】
畑のある生活 朝日出版社 1,200円
やさい暮らしを始めませんか。 ポプラ社 1,680円
Facebook