HOME CRAFT COLUMN 9縫目 「帰国」

卒業展示も無事終了した、翌日の朝。

トントンと部屋のドアを叩く音が聞こえたので開けてみると

小柄で、クリクリしたかわいらしい目に眼鏡をかけた、クラスメイトのスザンヌが立っていました。

ニコッと笑いながら、持っていたデンマークの新聞を広げて

「ゆりが載ってたよ!」

と、見せに来てくれました。

「えーーー!!ホントだー!!!」

スザンヌ 「よかったねー!これあげる、記念に持って帰って。」

「Tak!(ありがとう)」

卒業展示の様子を載せた記事で、その一部に写っていました。

前回のパンフレットに続き、新聞にも載せてもらえるなんてー!!

本当に良い記念になりました。

展示が終わってから、卒業まではわずか一週間。

荷物整理や部屋の掃除など、帰国の準備をしていきます。

半年間分の思い出の詰まった物や作品たちは、もう全部持って帰りたいくらい貴重なもの。

来る時はトランクひとつだったのが、帰る時には大きな段ボール3箱にもなってしまいました。

日本へ送るために近くの郵便局へ持って行くと、

「送料7万だね。」

たったっ高いっっ!!

思わぬ出費で当初予定していた、グリーンランド(北極圏の国)への旅行を泣く泣く諦めることに。

イヌイットに会いたかった・・・オーロラ見たかった・・・。

そんなこんなで、一週間は過ぎていき、ついに卒業の日を迎えました。

朝、いつもの様に朝食を済まし、講堂へと向かいます。

いつもと変わらぬ朝の挨拶。

「Good morgen.(おはよう)」

家族や友人、以前の卒業生も卒業式に参列していたりします。

一人一人名前が呼ばれて、卒業証書を受け取ったあとは、お決まりのティータイム。

この日はなんと、仲良しのキッチンスタッフのVenteが、私たちの大好きなキャロットケーキを作ってくれました!

「今日は特別な日だからね!たくさん食べて!」

以前も紹介したこのケーキは、一番下にDaimというカラメル入りのチョコレートを敷いて、その上にクリームチーズと人参のみじん切りを乗せたもの。

最後の最後まで幸せすぎるティータイム!!

いつものように談話をしながら、思い出話しをしながら、心地良く過ぎていく時間。

スラッと背が高くて、美人なのにおちゃらけキャラのマリーヌは

「God hund!Yuri!」

と、ニヤッと笑って最後の一言。

これ実は、犬に対してよく使う言葉で 「Good dog!(良い子だね!上出来!)」 を意味します。

犬と同等な私・・・。

「マリーヌ、一緒に写真撮ろう!」

いつもウケを狙うお茶目な彼女は、ふざけた写真ばかりで、一番まともなのがこちら。

お世話になった先生方や、みんなともパシャリ。

「半年間ありがとう!また会おうね!」

と、一人また一人と学校を去っていきます。

私は卒業式の翌日、一日遅れて出発しました。

同じバスに乗るみんなと、最後の記念撮影。

学校生活がこんなに素敵なものだとは思ってもなかった!

いつでもやりたいことを受け入れてくれていた先生方。

困ったときには、いつも助けてくれて、一緒にふざけたことをしたり、たくさん笑い合ったみんな。

ありがとう!

数日間、コペンハーゲンに滞在したのち、日本へと帰国しました。

帰国後、なんとなく歯が茶色くなっていることに気付き、虫歯かも!と思い、歯医者へ。

「お茶による色素沈着ですね。」

と診断されました。

どれだけ紅茶を飲みまくってたんだろう・・・

【今月の手芸くらし】

久しぶりに洋服のオーダーをいただき製作した、ワンピース。

可愛らしくなりすぎないように、前に斜めにタックを入れて、スッキリとしたラインに。

ポイントに刺繍もしました。

唐戸友里
服飾系の高校・専門学校で学び、その後、デンマークの手工芸学校へ留学。
帰国後、すこしずつ活動をスタート。
作品展示・販売の他、刺繍の講師も務める。
2018年に横浜から下諏訪へ移住
現在、地域おこし協力隊として活動しつつ、教室OPENに向け準備中。
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