季節ごとの八ヶ岳の日々、音、響きを感覚全開で綴ります。
仕事柄、植物の薬効の話をすることが多いのですが、私が本当に人に伝えたいことは、実は薬効とは少し違うところにあります。
独立して今の仕事をする前、私は子供たちにハーブのことを伝える講師の仕事をしていました。
子供たちに最初にするのは決まって、「ハーブって何だと思う?」「普通の植物とハーブの違いって何だと思う?」という質問。
そう聞かれると、たいていの子供たちは「いい匂いがする」「食べておいしい」「体にいい」と答えます。
そして、この質問の答えはというと・・・
「ハーブとは、人の暮らしの役に立つ植物」
です。
人が生きていくうえで何らかの助けになってくれていればその植物は「ハーブ」と言うことができます。
いい匂いがしなくても美味しくなくても薬効がなくても、人が生きていくうえで助けになってくれている植物は「ハーブ」なのです。
例えばラムズイヤーはハーブですが、食べられないし、お花はいい香りだけど特筆するほどでもないし、薬効もありません。
ではラムズイヤーがなぜハーブなのかというと、その名の通り、羊の耳のような見た目と手触りで人を愉しませてくれるという意味で、人の暮らしの役に立ってくれている植物だからです。(画像はWikipediaより)
このように、ハーブの定義はとても曖昧なものなのです。
子供たちにこのような質問をした後で必ず伝えるお話がありました。
それは、
「私が身の回りに植物がたくさんいる暮らしを選んでいるのは、その植物に薬効があるからでもいい香りがするからでも食べられるからでもなくて、ただ近くにいるだけで、また遠くに見えるだけでも心を和ませてもらえて、本当に生きる上で助けをもらっているからここを選んでいるんだよ。だからそういう意味では、私はすべての植物をハーブと言ってもいいと思ってるんだよ」
というお話でした。
植物は薬効があってもなくても私たちをいつも助けてくれています。
そこに気が付くといつもの景色が全く違って見えてきたり、何もなくても植物と共に生きていると思うだけで絶対的な安心感を得られたりします。
なので、私の薬草観察会は薬効についてもお話しますが、「オオバコは戦わないことを選んだ植物」とか、「アカネはどんどん前に行きたい植物」などと、とても余談が多いです(笑)
例えば近所の野良猫に赤ちゃんがいることが分かった時とか、トンボが水たまりに卵を産んでる姿を見ると親近感がわいたり(私だけ?)、心が動かされるように、植物の生態や生き方を知るととても親近感がわいて心動かされ、自分と植物との関係性が変わってきます。ですので、そんな余談をすることを大切にしています。
薬効があるないに関わらず、気になる植物を眺めたり触ったり体にのっけて寝たりするだけで心が変わってくるので、植物は本当に不思議です。
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(薬草観察会は本年度は終了しました。また来春開講予定です。)
12/7(木)、12/10(日)「塗る漢方」紫雲膏づくり ~お台所から始めるセルフケア~
豚脂を使わない紫雲膏づくりのワークショップです。原料の生薬の植物としての姿も深くお伝えします。
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12/15(金)、12/17(日)月桃蒸留化粧水とフェイスクリームづくり
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