こんにちは、藤森朋子です。
出逢いと別れの季節
八ヶ岳の春は寒暖差激しい毎日を繰り返し、なごり雪もありながら、大地では着実に虫たちも植えられた球根や種たちもムクムクと芽を出す準備を始めています。
私たちの身体もゆっくりと花開くように身体が開いていく時期です。眠気や頭痛、肩こりが酷くなる方もいますね。ヨガポーズしながら左右差を小さくし縮まった身体をほどいていきましょう。
新生活スタートの方も多いのではないでしょうか?卒業・入学・転勤・引っ越しなど環境の変化に不安定にもなりやすい時期です。そんな時に香りとふれあいは役立ちますよ。
香りと記憶
香りを感じてみましょう。
香りは、海馬に刺激を与えて、記憶を呼び覚ますといわれています。本能に結びついているので、その方個人の想い出、人物、風景、美しい記憶や悲しい記憶が香りをかいだ途端によみがえり、自律神経や免疫、内分泌まで変化させます。赤ちゃんの嗅覚は母乳のにおいまでも嗅ぎ分けるといわれていますし、妊婦さんも停滞気味の陣痛が促進されることもあります。
高齢になると嗅覚は鈍くなっていきますが、認知症予防にも研究が進み香りが脳を刺激し、昔の記憶を呼び覚ましたり、体内時計を整えたり、介護の現場でも役立っています。そして最期の看取りの時の触れ合いや、看取った後の死別の悲しみを癒すグリーフケアにもとても助けになります。
人の手のぬくもりと香り
私自身が香りと手のぬくもりに救われた経験をお話しします。それが今の自分への道に導いてくれた出来事です。
私は神奈川県からお嫁に来て、病棟に勤務する看護師でした。朝焼けに輝く八ヶ岳を楽しみにがんばるそんなある夜勤中、実家の火災、妹が亡くなった・・・と連絡が入りました。駆けつけたあと悲しみに打ちひしがれる暇もなく、家がない状態で隣近所の方にお世話になりながらの葬儀や火災の片付け、夜勤明けであずさに乗り、一泊して翌々日帰ってきてそのまま準夜勤をする・・・というハードな毎日を半年ほど送っていました。
患者さんの前では笑顔で・・・としているうちに、私は大丈夫になってきた・・・と思っていたある日、万年肩こりの看護師同僚と、アロマトリートメントを受けてみようと出かけました。
姉妹で営むサロンで楽しくお話していたのですが、トリートメントをしていただいている最中に、言葉は何もないのに涙が溢れてきてビックリ。妹のことはお話してないし、まだ数回しかお会いしたことないセラピストの方の前で泣いているなんて!と。
その時使ってくださった香りはローズとパイン。甘い優しい香りと森に包まれた香りにあたたかな手・・一気に懐かしい記憶、果たせなかった約束が溢れたのです。子供の頃週末の森林公園の散歩や登山、小さなバラのブーケを買ってはお部屋に飾っていた姿、葬儀の時は友人たちが手向けてくれたピンクのバラで見送ったこと・・抑えていた悲しみが涙とともに溢れました。
トリートメントが終わると、盛り上がるくらいの背中と浅い呼吸が、ふっと力が抜け、深い呼吸ができたのを覚えています。香りと人の手のぬくもりの力を実感した私は、アロマテラピーやタッチケアについて学び始めたのです。ローズは悲嘆をなぐさめ、死別の悲しみに寄り添う香りともいわれていると知り、グリーフケアは、言葉はなくともできるのだと、看護師時代に見送った患者さんとの時間も蘇りました。
今も、学び続けながら、植物のもつ香りの電気信号、有機化合物の働き、触れることによる愛情ホルモンであるオキシトシンの分泌・・・人が本来持っている自然治癒力に感動し続けています。そして、お産の現場、看取りを通して感じていた問いを求め、いのちをみんなで感じたい「産声をあげるとき息をひきとるとき」の命に寄り添いたいと思って活動しています。これからも皆さんと一緒に深めていきたいと思っています。
ごあいさつ
1年間ありがとうございました。
ココカラめぐりを読んでくださった皆さんが、病院に行く前にできる簡単な生活法や自然療法、八ヶ岳に生息するハーブやアロマテラピー、を生活に取り入れながら、身体と心の繋がり、身体はひとつの膜で繋がれていること、みんな繋がれていること・・・を感じ、健やかに暮らしていけたらいいなと願っています。
これからは『産声をあげるとき息をひきとるとき』のテーマでコラムを書かせていただきます。よろしくお願いします。
Sincerely
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