HOME CULTURE & LIFE COLUMN 連載8 アオツヅラフジのネストかご
八ヶ岳に自生する薬草ともっと仲良くなって、共に暮らしていくための読み物です。

今の時期青黒い実をたわわに付け、樹木やフェンスなどにグルグルと巻き付いているこの方。

アオツヅラフジ

「したきりすずめ」にも「大きい葛篭(つづら)と小さい葛篭(つづら)」が出てきますね。

葛篭(つづら)とは現在は主に竹で出来た蓋つきカゴのことを指しますが、元々はツヅラフジで編んだカゴのことで、材料がツヅラフジから竹に代わっても葛篭(つづら)という名前が残ったそうです。

アオツヅラフジはとてもカゴを編みやすい薬草です。アケビやブドウのカゴは、一度材料を乾燥させてから戻して使うなど結構手間がかかりますが、アオツヅラフジは、採ってきて生のまますぐ編めます。

しなやかで強く、カビも生えません。

編んでしばらくは緑色が残るのでとても綺麗です。

というわけで、今回はアオツヅラフジでネスト(鳥の巣)かごを編みます。

アオツヅラフジのネストかごの作り方

  1. アオツヅラフジを採取する。

    見分けるポイントは、ツル全体にうっすらと毛が生えているところです。
  2. 葉や節は取り、枝分かれしているところは切り離して、なるべく長い一本のツルになるようにする。
  3. ②を編みやすいようにモールなどで束ねる。
  4. まず、軸になる太めのツルを、同じ長さに切り揃えて4本用意する。
  5. ④を2本ずつの束にして、クロスさせる。
  6. 写真のように、細めのツルで軸のツルの周りを4周くらい巻き、固定する。固定に使った細めのツルは切らずにそのままにしておく。
  7. 軸になるツルを放射状に広げる
  8. 軸の8本のうち、2本をモールで束ね、軸を7本にする。
  9. ⑥で残しておいたツルで軸ごとに、内側、外側になるように編み、好みの大きさのカゴの底の部分を完成させる。

    ※途中で編み終えたツルはそのままにしておく。新しいツルを順次足しながら編んでいく。
  10. 底の部分が完成したら、軸を立ち上げて、立ち上がり部分を編む。
  11. 立ち上がり部分を好みの高さまで編んだら、軸の部分をカゴの内部に折り込む。

    完成。鍵を入れてみました。

アオツヅラフジは根が木防已(もくぼうい)という生薬で、鎮痛、利尿、喘息に効果があるとされています。(「食べる薬草」 村上光太郎著)。

また、アオツヅラフジの別名は「カミエビ」。

「神様のエビヅル」という意味と、「噛むエビヅル」という意味があります。

薬効もあって、暮らしの道具、カゴを編むことができるアオツヅラフジを、神様のように大切にしてきた昔の人の心が伺えて、とても素敵な名前だなあと思います。

また、「噛むエビヅル」の意味は、アオツヅラフジの実を噛んで醸してお酒にしたことから来ています。お酒はご神事の時に飲むものだったため、アオツヅラフジは神様と関わりの深い薬草だったのでしょう。

そんなことを思いながら、モフモフした毛の生えているアオツヅラフジでカゴを編む時間はとても豊かな時間です。

Kigiのワークショップ

薬草さんぽと薬草ハーブボールづくりとセルフケア

月よみ師でからだのスペシャリスト石井ゆかりとのコラボ第二弾。薬草さんぽ、みんなで摘んだ薬草を使ってのハーブボールづくりは薬草のスペシャリストKigiが担当、ハーブボールを使ってのセルフケアの時間は、石井ゆかりが担当します。薬草ブレンド茶とおやつ付き。

日程 2018年11月10日(土)
時間 13:00~17:00
場所 かりーにゃ
野草民泊「福田屋」
長野県伊那市高遠町山室
料金 6000円

詳しくはこちら
https://kigi.amebaownd.com/posts/4881975?categoryIds=541588

よもぎの一日

Kigiのお庭のよもぎから作ったよもぎオイルと北杜市産ニホンミツバチのミツロウを使ったバーム(万能軟膏)づくりと、よもぎを使ってハーブボールを作り、からだとこころを緩めるセルフケアの時間です。oven worksのランチもあり

日程 2018年11月25日(日)、11月27日(火)
時間 10:00~12:00 よもぎバーム作り
13:30~15:30 よもぎハーブボールづくりとセルフケア
場所 Yatsugatake Small House(長野県諏訪郡原村18820)
料金 よもぎバーム作り 4500円
よもぎハーブボールづくりとセルフケア 3300円
上記両講座 7300円
oven worksのランチ 1000円

詳しくはこちら
https://kigi.amebaownd.com/posts/5065016?categoryIds=541588

紫雲膏づくり

生薬 紫根と当帰から紫雲膏(豚脂不使用)を作るワークショップです。紫根由来の美しい色をしたこの軟膏は、やけどや切り傷、しもやけ、シミなどの皮膚疾患全般に効果があると言われています。美肌効果、血行促進効果もあるので、日常の肌のお手入れにも 。12/12(水)は料理家セトキョウコさんのおやつ付き。
詳細は近日公開予定です。

日程 2018年12月8日(土)、12月12日(水)

お屠蘇(おとそ)づくり

お正月に飲む日本古来の薬草酒がお屠蘇です。お屠蘇の原料の薬草をブレンドして屠蘇散(とそさん お屠蘇の素)を作ります。ベースになる赤酒付きなので、年末にご自宅でお屠蘇が作れます。来年のお正月は手作りのお屠蘇で迎えてみませんか?あしぇっと特製エリクシール(ドイツの薬草酒)とお屠蘇を使ったフレンチランチ付き。詳細は近日公開予定です。

日程 2018年12月15日(土)
薬草専門家 Kigi
波多野ゆふ
足元の薬草と共に在る暮らしを提案しています。

薬草は特別なものではなくいつでも私たちの足元にあり、古来の人々は感謝と共にその恩恵に預かってきました。

その人に必要な薬草はその人の足元に生えており、同じ時間と場所を共有している薬草を暮らしの中に取り入れることは、生きていくうえで大きな安心感につながると感じています。

薬用植物園勤務、ハーブ講師を経て、現在は薬草専門家Kigiとして、薬草講座や薬草観察会、足元の薬草を使ったコスメづくりや薬草を使ったお手当のワークショップを開催しています。

私たちと変わらない命を持った植物の生き方を、なるべく詳しくお伝えすることを心がけています。
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