私は八ヶ岳に棲みついた天涯孤独の一匹オオカミ、逢徒狼。
この界隈にひっそりと、しかししぶとく美しくあり続ける地を紹介していきたい。
今回は番外編だ。
何故なら、、、寒い、ただただ寒い、かと言って雪は少ないこの時期、冬の八ヶ岳に潜入するにはまだ少し早いのだ。
ならば珈琲道を極めようではないか。
東京、そう、そこは喫茶店、コーヒーチェーン店、コーヒースタンドなど無数のコーヒー店がひしめく場所だ。縄張り争いも激しいらしい。厄介なことに巻き込まれなければ良いのだが、、、
さあ、出発だ。
私のアジトから車で走ること三時間、一軒目の珈琲店に到着だ。
なかなか良い外観じゃないか。
扉を開けて店内へと足を運ぶ。
「たのもう!」
朝一番、私の他には誰もいないようだ。
若い衆がふたり、黙々と珈琲を焙煎している。
店内に立ち込めるこの薫りだけで脳内快楽物質が放出され、思わず口元がほころんでしまう。
アナログ盤で葉っぱ兄弟の「Jesus is just alright」が流れる店内、良い雰囲気だ。
さて、珈琲を頼もうじゃないか。
本日のコーヒーその1
コスタリカ タラス地区 エル・アルコン農園 モンテ・コペイ マクロミル
標高1,900mで生産されるスペシャルティコーヒーだ。農園があるラ・バンデラ一帯には鷹が生息し、毎朝農園に鷹が飛来することからアルコン(鷹)と名付けられたらしい。
丁寧にハンドドリップで落とし淹れた珈琲、お代わり付きだ。
早速いただくとしよう。
う~ん、なんとも言えないフルーツの薫り、シルキーな飲み口にカカオを想わせるコクとまろやかな甘さの余韻が残る。そしてグレープフルーツをイメージさせる酸味、実に複雑な味わいが口の中に広がる。
初めて訪れた店だが、雰囲気も良く珈琲も美味い。
若い衆、世話になった。
有難う、ご馳走様でした。
さて、二軒目へと先を急ごう。
車を走らせること約20分、ほどなく到着。
東京に来ると必ず立ち寄る下町の珈琲店だ。
「たのもう!」
相変わらず爽やかな店内と若い衆、私にはちょっと眩しいくらいだ。
さて、珈琲を頼むとしよう。
本日のコーヒーその2
グァテマラ ウエウエテナンゴ地区 ペニャ・ロハ
この店に初めてきた時に飲んだグァテマラに衝撃を受け、以来通い詰めるようになったのはまだ記憶に新しい出来事だ。
うん、間違いない。
鼻にぬけるフローラルの薫りで一気に気分があがる、そのあとに押しよせるほのかな甘みで一気に昇天。
今日は奮発してコイツも頼んでやった。
満足。有難う、ご馳走様でした。
さあ、目的は果たした、八ヶ岳へ帰ろう。
実は今日どうしてもやらなければならない大事な仕事があとひとつ残っているのだ。
ビニール袋に小分けにされた何やら怪しげな褐色の豆。
そう、この豆は私の焙煎師匠、ミスターDが焙煎セミナーで焼いた豆だ。
コスタリカ タラス地区 ラ・カンデリージャ農園 カツーラ
三種類あるが豆は同じもので焙煎の仕方が微妙に違うらしい。
さすが師匠、探究心旺盛だ
今回は①、オーソドックスな中煎りのブツをいただくとしよう。
中粗挽き、14g。
こいつを八ヶ岳の湧き水を沸かした180ccのお湯で落とし淹れてやる。
完成。
往復六時間のドライブで疲れた体に一気に流し込む。
嗚呼、なんだこれは!
圧倒的に美味い、薫りも爽やかだ。
もしかしたら、今日コーヒースタンドで流し込んだコーヒーよりも美味いかもしれない。
そうか、煎りたての挽きたて、水は八ヶ岳の湧き水、森の中、ひとりぼっち、、、美味いに決まってる。
やはり八ヶ岳での珈琲時間は最高だ、何物にも代え難い贅沢なひととき。
東京では決して味わうことのできないコトかもしれない。
師匠、本日も美味しゅうございました。
追伸:皆様、本年もどうぞよろしくお願いいたします。