地域から情報を発信し、地域を楽しくしていく。
そんな志を持った「ハチモット」さんからご依頼をいただきました。
「教育」という目線からお手伝いできることって何だろう?
「地方の課題」と「教育問題」に共通点はあるだろうか?
依頼を受けてから色々と考えてみました。
とりあえず一つ挙げるとしたら、
「『模範解答』が通用しなくなった」という点でしょうか。
人口が増加し、経済が右肩上がりだった頃の「成功例=模範解答」は、もはや過去の遺物になっています。
教育の世界で一例を挙げれば、
「用意された正解に速く到達する」ことが
「頭の良さ」の重要な尺度だった時代は終わろうとしています。
それなのに、「勉強・宿題」の定番は、未だに「計算ドリル」と「漢字練習帳」だったりして…
昔はうまくいっていたことが、今は通用しなくなってきたことに気づかないのか、それとも、気づきたくないだけなのか。
教授法だけではなく、部活、体罰、不登校…
子どもたちを取り巻く様々な場面で、「昔はこうだった」「昔はうまくいった」という経験則が通用しなくなっています。その現実を受け入れることは簡単なようでいて、実はとても難しいことです。
ガリレオの理論を受け入れなかった当時の科学者たちは、望遠鏡をのぞこうとすらしなかったそうです。
新しいモノを受け入れることで
自分たちが信じていたもの(≒自分)を否定されるのが怖かったのでしょう。でも、彼らと同じ過ちはいつでも容易に起こりえます。
例えば、みなさんは、
「計算=算数・数学の基礎」だと信じていませんか?
「計算が遅いことや計算間違いは悪い事」だと決めつけていませんか?
こういう常識を、ちょっと疑ってみることができると思わぬ発見があるものです。
日本で「ゆとり教育」の弊害が叫ばれていたころ、その反動からか、「インド式数学」という教授法が注目されました。日本以上に計算や暗記に重点を置いた教授法で、20×20まで暗記しているとか、3桁同士の掛け算を暗算するといった話は、IT業界におけるインド人の活躍を説明するのに充分な説得力もありました。
ところが、そんな大注目の中で2009年に参加した、経済協力開発機構(OECD)実施の学習到達度に関する調査において
なんと、インドは、74の国と地域の中で「72位、と73位」という結果だったのです。これ以降、インドは同調査への参加自体を見合わせています。
一方で、同調査だけでなく、IEA(国際教育到達評価学会)主催の調査において、
小4が「1位→2位→1位→1位」、
中2が「1位→3位→2位→1位」という好成績を収め、確固たる地位を固めたのが「シンガポール」です。
その特徴は「文章題で概念を理解させる」ことを優先し、計算は後回しにするという点にあります。
つまり、概念を理解していないのに、計算練習だけを大量にしても意味がないというスタンスです。
さらに、そのシンガポールでは、小5になると全員に、あるものが配られます。
それは…
なんと「電卓」です!
もちろん、人口も文化もかなり異なる、この二か国を単純に比較することはできません。
ただ、みなさんの周りにもいませんでしたか?
「計算や暗算」はすごく得意なのに、小学校高学年以降、ちっとも数学ができなくなる友だちが…
検索エンジン、AI、ビッグデータなどが、働き方や学び方を大きく変えていく時代に、ストップウォッチを片手に、「友だちより何秒速く正解した」ということを競い合ってばかりでいいのでしょうか。
この連載を通じて「模範解答」のない時代に、子どもたちにどんな教育を提案していけばいいのか、読者のみなさんと一緒に考えていけたらなと思っています。
みなさんの、ご質問、ご意見もお待ちしております<(_ _)>
村上先生の活動!
「ママ算数~inまつもと~」
2019年6月11日火曜日10:00-11:30
お子さんが算数大好きになるには、
まず、ママが算数の楽しさに気づくこと…
学校の授業だけでは見えてこない、算数の本質や本当のおもしろさ…
美味しいお茶をいただきながら、お伝えできたらと思います。
日程 |
2019年6月11日(火) |
時間 |
10:00~11:30 |
講師 |
村上陽一(学び舎Planus代表) |
対象 |
小学校までのお子さんをお持ちのママさん。 |
定員 |
15名 |
費用 |
1000円(1ドリンクを含む) |
持ち物 |
筆記用具 |
https://www.facebook.com/events/424838181666268/