個人活動としては農業専門サイト「つちとて」を運営(休止中)。合気道初段(絶賛修行中)でもある。
こんにちは。ヤツガタケシゴトニン ライターの まちだ です。
みなさん、スワニミズムってご存知ですか?知らないですよね?そもそもスワは分かるけど、ニミズムって何?って感じでしょう。でも、このスワニミズムが熱いのです。個人的には諏訪地方の情報で最も注目しています!
「スワニミズム」は、ニッチでマニアックで、最高!な研究会
スワニミズムは、2012年春に発足した諏訪信仰を探求する研究会です。名前の由来は諏訪(スワ)と、全てのものの中に霊魂が宿っているという考え方であるアニミズムを合わせた造語です。
諏訪の原直正先生、田中基先生、石埜三千穂先生が新・古部族研(!)ならぬ研究会を作ろうと満を持して発足させたのが、諏訪信仰研究会「SUWA-ANIMISM/スワニミズム」。
会報誌のレベルじゃない!「スワニミズム 第2号」は重要文化研究誌
スワニミズムが不定期で発行している会報誌が「スワニミズム」です。第1号は「諏訪力」を中心とした諏訪信仰を特集。そして3月に出たのが「スワニミズム 第2号 特集:縄文の未来」です。
八ヶ岳エリアは、縄文時代の一大中心地です。茅野市の尖石遺跡をはじめ、富士見町 井戸尻遺跡、原村 阿久遺跡など、土器や土偶など貴重な遺跡が数多く発掘されています。諏訪信仰の源流として、縄文文化の存在があります。
特集 巻頭には、縄文と諏訪とのつながりが書かれています。
いま「縄文」が注目されている。それも、かつての「考古学ブーム」の文脈ではなく、日本の基底文化としての、文明論・芸術論的文脈で。
諏訪の過去・現在・未来を考える上で、このことは極めて重要な意味を持つ。中期縄文文化の一大中心地だったという考古学的事実があるのみならず、縄文人を直接の先祖とイメージしている、列島でも数少ない地域社会であるからだ。
スワニミズム 第2号 P5 特集 縄文の未来
胸焼け必至!八ヶ岳の縄文文化は驚きの山だっ!
それにしても、内容が濃いこと。私は、第二部に掲載されている「死生観をつくりなす−日本基層文化の生と死を探る」の講演を聴きに行ったので発売日に買いに走りましたが、他のページを見て、内容の濃さに仰け反りました。全200ページ、1,000円。普通なら、この3倍くらいの値段でも良さそうな充実した内容です。
第一部は、井戸尻遺跡前館長 小林公明さん、多摩美術大学芸術人類学研究所特別講師 田中基さん、北海道考古学会 会長 大島直行さんによる「縄文土器図表解読の最先端」。縄文土器の模様から意味や物語を読み解く研究です。正直、まだ全部読めてません(笑)
第二部は、中沢新一さんと田中基さんが明治大学で行った講演を基にした内容。中沢さんからは「井戸尻考古館というのは、たいへんな奇人の先輩の集まりで(笑)」(スワニミズム 第2号 P99)とう発言も飛び出し、日本の縄文研究の在り方、日本の基層文化の流れ、レヴィ・ストロースの神話構造、明治神宮、縄文の未来と話は続いていきます。
特集の他にも、諏訪信仰の研究や活動報告も掲載されています。たぶん、冬までかかっても全て把握できなそうな大ヴォリュームです。ありがたや〜
Amazonじゃ売ってないよ!八ヶ岳&諏訪のおみやげにもいいかもね!
スワニミズムは、諏訪書店、笠原書店 岡谷本店・下諏訪町イオン店、今井書店 茅野本店・富士見町店、平安堂 諏訪店などで、買うことができます。今のところ、ネット通販では売っていないので、八ヶ岳エリアに来た際は、おみやげとして買って帰るのもいいかもしれません。
スワニミズムは、FBページで情報発信もしています。諏訪信仰にまつわる話題、講演・研究の情報、イベント情報などが掲載されています。こちらもチェックしてみてください。
スワニミズムから感じる八ヶ岳の魅力
スワニミズム 第2号を読んでいて、つくづく思うのは八ヶ岳をはじめ諏訪地方の文化の豊かさ、奥深さです。しかも、我々が教わってきた日本の歴史とは一風変わった歴史があふれているのには驚きます。例えば、井戸尻遺跡の縄文時代から農耕(稲作)が行われていた説などは、弥生時代=農耕のはじまりだと思っていた知識を根底からひっくり返されました。井戸尻だけでなく、諏訪には常識では考えきれないような文化が通底しています。もしかしたら、この土地に移り住んでくる人や、魅力を感じてくれる人は、無意識で太古から受け継がれてきた文化に引き付けられてたのでは?と思ってしまうくらい、魅力的で、神秘的で、奥深い文化があります。
あなたもスワニミズムを入口に、八ヶ岳・諏訪エリアの文化に触れてみませんか?もしかしたら抜け出せなくなるかもしれませんが、それは自己責任でお願いします(笑)