HOME CULTURE & LIFE COLUMN Vol.2 「映画『玄牝』のつながり」その①

先日、ハチモットでは映画『玄牝』上映会告知を投稿させていただいた。
http://8mot.com/culture/8861/

この映画上映会にまつわる不思議なご縁のお話しをしたい。

いまから11年前、長女を妊娠した。
八ヶ岳に移住する前、私たちが東京で暮らしていたときのことだ。

妊娠4週目に親友の結婚式で司会をすることになり、会場である軽井沢に向かった。タイミングよく、その親友の子どもを取り上げてくれた助産師さんを紹介してもらうことになる。

名前は、松浦照子さん

ここでお気づきの方もいらっしゃるだろうか?

照子さんは、今回の上映会後にお話しをしてくださる方で、映画『玄牝』にも登場する助産師さん(まだその頃に映画も撮影もありません)。

20代に1年間暮らしたのがきっかけで、私にとって第2の故郷となったアメリカ・ニューメキシコ州は、照子さんと旦那さんが出会った場所だという(旦那さんも日本人)。これは運命だと感じた。

長女の出産で・・・

友人の体験を参考に、私たちが選択した産み方は“自宅出産”。

妊婦さんたちが薪割りをする産婦人科、として知られる愛知県・岡崎市の吉村医院。自然な命の営みが、病院によって機械的になることに警鐘を鳴らした名物医師である吉村正先生。

この産婦人科医院で助産師をしていた照子さんにお願いするということは当時、自宅出産を決意するということだった。

病院に産んでもらうのではなく、自分で産む。

初めて対面したときに、照子さんはそっと私のお腹に向かって、

「はじめまして。照子です。よろしくねぇ」

と語り掛けてくれたその手が確実に拡声器となり、身体が震えたことを思い出す。

これが助産師さんなのか…赤ちゃんと対話している…まるで巫女のように…

初めての出産で、現代日本では0.01%の人しか選択しないという自宅出産を選んだからには、用意周到に準備しなければ・・・と意気込んで、

激しいツワリのなかでも、仕事をし、食事をオーガニックに切り替え、毎日2駅分のウォーキングと、300回のスクワット、たくさんの自然出産・育児関係の本を読んだ。

照子さんは、そんな私のすべてに寄り添い(変えようとせず)、
夫に対しては、彼自身が抱えていた傷を解放し、“妊婦を支えるということ”“いのちが誕生するということ”をとことん伝えてくれた。

いのちは理想を超えている・・・

とても順調に見えた妊娠生活が一変したのは35週目のこと。
臨月を前にして、血圧が大幅に上昇、上が160を過ぎた。

妊娠高血圧症候群

ひと昔前は、妊娠中毒症と呼ばれた症状が出始める。妊娠そのものが原因となるこの症状が進むと、血圧は上がる一方で赤ちゃんに栄養が届かなくなり、母子ともに危険な状態になる…。

照子さんが下した結論は、「病院に行こう」というものだった。

それまで優秀な妊婦だと思い込んできた私には晴天の霹靂!理想の出産ができないことが悲しくて、涙が止まらなかった。

自分の力で産むことのできないやるせなさと、大きくなっていくお腹、元気に蹴ってくれる赤ちゃんの足、心配で不安な両親、夫の気遣い、照子さんの変わらない大らかさ、沢山のものがぐちゃぐちゃになりながらの後ろ髪引かれる入院は・・・

私の狭い頭で思い描いていた機械的なものではなく、

すばらしいチームプレーに溢れたものだったからビックリ(笑)

その②につづく!

8mot編集長
みっちゃん
2011年12月に八ヶ岳に移住。以前は医学雑誌の編集をしていたが、移住後はさまざまな繋がりから農業・翻訳・校正・手仕事・イベント企画、星空の映画祭運営委員など、多様性ある豊かな関わりを実行中。共訳に『ルーミーその友に出会う旅』、『ルーミー愛の詩』があり、八ヶ岳で朗読会を主催している。
これからの社会は信頼と仲間との連携=愛なる社会であることを想い、ハチモットで八ヶ岳の繋がりを表現した~い。
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