季節ごとの八ヶ岳の日々、音、響きを感覚全開で綴ります。
暑さの中にもふと秋の気配を感じるこの季節、道路脇でぐんぐん伸びてひときわ目立っているこの方。
タケニグサ。
竹に似て中が中空でぐんぐん伸びるからタケニグサ。
一度伸び始めるとどんどん成長して3mほどになり、タケニグサが草だということを忘れてしまうくらいの存在感。
それゆえに悲しいことに日本では駆除対象とされがちで、地域の草刈りの時なんかに刈払機で一気に刈られてしまいます。(草刈りの時に仮払機を使わずに大鎌とかで刈れば草木の声も聞こえ、同じ刈るにしても、一瞬でも草木に心を寄せる瞬間があると思うのです。)
日本ではどちらかというと嫌われがちなタケニグサ、意外なことに海外では観賞用の植物として人気が高いのです。
出勤前の朝の時間、ヒトたちが慌ただしく車を運転していても、仕事帰り家路を急いでいても、タケニグサは道路脇で我関せずとひたすらに天を仰いで伸びていきます。
その姿は神々しく、裏側に白色の毛を纏った大きな葉や、下から順番に充実していき、幾通りもの姿を楽しませてくれる花序はとても美しく感じます。
また、タケニグサは代表的な先駆植物(パイオニアプランツ)でもあります。荒れた土地や山が崩れて土がむき出しになったところ、造成された土地などにいち早く生えてきてその地を整え、他の植物が育つようになるとその役目を終えて姿を消します。
大柄で少し武骨な感じがする見た目によらず、優しくて心が広く、そして潔い、昔の日本男性のような印象を受けます。
また、タケニグサは、毒であると同時に薬にもなる植物です。
茎を折ったり葉を傷つけたりするとオレンジ色の汁が出てきてこれに触るとかぶれたり、内服すると中毒を引き起こしたりします。
だけど、毒のある植物に概して言えるのは生薬としての一面を持っていること。
タケニグサの生薬名は博落廻(ハクラクカイ)。皮膚病に効果があるそうです。
また、タケニグサはとても素敵な別名を持っています。
「ササヤキ」、あるいは「ササヤキグサ」。
タケニグサは下から順番に花が付いて実になっていくのですが、お盆の頃、実の中の種は乾いてカラカラと音を立てます。
これが、草木の囁きに聞こえるから「ササヤキグサ」。
タケニグサはちょっとエキゾチックな雰囲気もありますが、日本に古来からある植物です。
お盆の時、家に帰ってくるご先祖様が道に迷わないように、ササヤキグサの囁きで道案内をしてもらうという意味で、このタケニグサをお供えする風習が今も残る地方もあるそうです。
もうすぐお盆。家に帰ってくるご先祖様と一緒に「ササヤキ」の声を聞いてみるのもよいですね。
kigiワークショップのご案内
Kigiという名前で薬草を原料にしたコスメづくりや薬草観察会を行っています。
8/7(月)
よもぎづくしの一日、よもぎコスメづくり
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8/20(日)、8/24(木) ほか
草木を感じ、その囁きを聞く薬草観察会
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9/9(土)、9/27(水)
お日様色の薬草、すくすく育ったオーガニックのカレンデュラを使ったバームづくり
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