2017年春より、大工の夫と共に「くらしまわり」をスタートさせる。おいしく食べること、丁寧に暮らすことの面白さを提案している。不定期でお料理教室を開催予定。
こんにちは、“くらしまわり”山越典子です。
前回は藤森さんの追っかけとして、いよいよ長野入りしたお話でした。
さあ、今回は遂に藤森さんとご対面のお話です。
藤森旅館へつづく道 第1歩「雷に打たれた日」
藤森旅館へつづく道 第2歩「いざ!!長野へ」
長野に移住して、私は穂高養生園で楽しく働いていました。
すこしでも高過庵の近くに・・・と思っていたのに、
日常は忙しく過ぎ去り、車に乗らなかった当時は高過庵通いもストップ。
養生園は共同生活の場でもあるため、荷物はダンボール3箱まで!
東京から厳選して持ってきた藤森さん本を拠り所に暮らしていました。
そんな日々のなか、藤森さんの本を同僚や新しく知り合う人に見せては素晴らしさを熱弁する!
という、地道な普及活動を繰り返していました(笑)
ある日、同僚たちと連れ立って久しぶりに茅野を訪れる機会がありました。
高過庵※1の下に立ち、神長官守谷史料館※2を巡りツアコンさながらの解説を繰り広げ、皆んなとの楽しい時間を過ごし大満足!!
※1.2…http://www.mtlabs.co.jp/shinshu/museum/fujimori.htm
それから、時間あるし、と、少し足を伸ばして山梨にあるRISONARE Books&Cafeに向かいます。
本棚の中にキラりと光る分厚い本!
それは、ダンボール3箱まで、と言われ買わずに我慢していた、藤森建築写真集でした!!
「おー!これこれ。」とレジに行くと、店員さんが話しかけてくれます。
店員さん「藤森さんお好きなんですか?」
私「はい、そうなんですよ。」
店員さん「昨日、こんなチラシもらってきたんです。」
と、その店員さんが見せてくれたのは・・・
私「ん・・・、ふ、ふ、ふ藤森照信ワークショップ!」
パンパカパーン!待ったてましたー!!
と、ファンファ~レが頭のなかで鳴り響くなか。
「藤森さんに会える!うわぁ~どうしよう。」
なんだかまるで、デートの前日の様にドキドキそわそわが入り混じり、既に落ち着かない私・・・。
さて、日頃の藤森建築普及活動のおかげか?奇跡的にしっかりお休みももらう事が出来、めでたくワークショップに参加する事となりました。
ワークショップ初日!
友達に駅まで送ってもらい、電車にのって茅野を目指します。
車窓からの景色は美しく、長野に移住してきてよかったな~なんて、こんな機会にも改めて感謝しながらの良い時間になりました。
会場の茅野市民館に到着すると、もう沢山の人が集まっています。
と、その中に!
「あ~!いる~。」
生(当たり前)藤森さんを発見!
「うわぁ・・・、すごい普通のおじさん。」
と、それが最初の感想。
今回のWSは、空飛ぶ泥舟を市民と一緒に作るという企画。
聞くからに面白い、が・・・泥舟?空飛ぶ?
説明を受け、作業が始まります。
とんとん、ぎこぎこ、作業はどれも楽しく時間が過ぎます。
面白いな~。
あ、藤森さん!
私「こんにちは、穂高から来ました。今日、おやつ持ってきたんですけど、休憩ありますか?」
藤森さん「ああ、そう。休憩あるよ、こういう作業は休憩しなきゃやっていられないよ。」
私「じゃあ、その時にだしますね。」(うわ~、喋っちゃった~、ほくほく。)
さて、作業に・・・
もともと、何かをつくるのが好きな私は作業に熱中していました。
と、誰かが肩を叩きます。
ん?
え!!藤森さん!?何??
藤森さん「あなた、おやつ持って来たって言ってたね。」
私「はい。」
藤森さん「休憩。」
私「は、はい。」(藤森さん、おやつの事忘れてなかった~(笑))
藤森さん=食べるの好きな人=私も!
と、こうして藤森さんご本人にも親しみを感じていくのでした。
作業終了後、記念撮影ではバッチリ藤森さんの横に!!
なんていい1日だったんだろ~、と夢心地で家路へ。
その後もWSは続きます。
そしていよいよ、泥舟が空を飛ぶ日がやって来ました!
「よいしょ~、よいしょ~。」
藤森さんを乗せたまま(笑!)泥舟は、人力で(笑!)
空へ空へと浮かんでていくのでした。
沢山の人の手、そして自分の手も加わり完成した泥舟、その愛しい事よ。
藤森建築から滲み出る、有機的な雰囲気は、きっとこういう人の気持ちがくっついているからに違いない!
屋根や壁に楽しい気持ちと一緒に、びっしり。
藤森建築に感じる魅力、その秘密を体験できた、そんな貴重で楽しいWSとなりました。
WSの途中途中で会う藤森さんは、普通じゃない普通のおじさん。
誰に対しても同じように接して、偉そうなところが一つも見当たらない。
作るものとも共通している雰囲気の人、“見た事ないのに懐かしい”と表現される建物とおんなじ。
さて、次回はこの連載の核になるお話。
なんで藤森さんに設計の依頼をする事になるの?
タイトルにある旅館って?
「棺桶に入るとき、私は」の巻き。
7月11日更新予定ですので、お楽しみにしていてください。
~~~手にはいつも土産をもって~~~
初めて会う藤森さんへ、WSの差し入れを。
甘いものお好きかな ~と思いを巡らせて。
特別なレシピの、ショートブレット。
写真提供©茅野市美術館