HOME CULTURE & LIFE COLUMN No3. 平岡幸恵さん その①
地域力の維持・強化のために設けられた地域おこし協力隊制度。八ヶ岳の各地域にもフレッシュでエネルギッシュな協力隊員たちが活躍しています。この連載では頑張っている協力隊員にスポットを当て、それぞれ書きたいことを記事にしてもらいました!

はじめまして。
原村地域おこし協力隊の平岡幸恵と申します。

わたしは大阪の門真市というところから原村にやってきました。
音楽がキッカケで原村を知り、星や山が好きなことも相まって10年前と8年前に原村を旅行。それが縁となり、原村に移住しました。みなさん、よろしくおねがいします。

原風景のはなし

小さい頃から田舎(島根県)が大好きで、そこでの経験が原風景となっています。

季節ごとの色彩、肌で感じる空気感、人間以外の生きものの気配。夜の闇、その先に広がる見たことのない数の星。月明かりでできる自分の影。そのどれもが都会にいては感じることができないものでした。言葉では言い表し難いものを全身で感じていたように思います。

原村にはそんな原風景と重なる部分が多々あり、「言葉では言い表し難いもの」がたくさん潜んでいるように思います。何気ない日常の中に小さな発見があり、覗き込むとその中はとても大きな宇宙を抱えているかのような美しさを見つけ出すこともあります。

七色の光の珠

それぞれの季節

原村は本当にどの季節も素晴らしいのです。

春は太陽の光を浴びて山全体が息を吹き返し、覆われた氷がどんどん水となって音をたてて流れていき、鳥は喜びの歌を鳴らし、視界に飛び込む色数がどんどん増え、見上げた桜の花の奥に広がる青空とのコントラストに何度も卒倒しそうになったり。

さくら

夏は強い日射しのもと、緑たちがぐんぐんと勢いをつけて育ち、雨の後なんかは本当に一日でこんなに大きくなるのだろうかと疑う程の作物の成長ぶりや、青空に映える大きな白い雲を連れてきたり、夜は下る気温の中で天の川や幾度となく流れる星を見たり。

まるやち湖

秋は空気がさらりと冷ややかに肌をかすめ、虫の音が夜を鳴らすようになり、田んぼは金色に、そば畑は白色に染まり、たくさんの実りを授けてくれ、木の葉は次第に色彩をまといながら螺旋を描くように落ちて地面を染めたり、山はまばらな色の群れを成したり。

金色いろ

冬は澄みきった空気から純度の高い青い色が生まれたり、雪に一面覆われた銀世界がこの世のものとは思えなかったり、氷の中の表情がとても銀河みたいだったり、冷え込んだ窓辺にできた結晶が、まるで誰かがとても繊細な絵を描きにきているように感じたり。

窓辺の結晶

ひとつとして同じものがなく、飽きないのです。

星空の映画祭のこと

原村には「星空の映画祭」という恒例の屋外イベントがあります。
八ヶ岳自然文化園のステージにスクリーンを張り、そこに映画を上映します。
縁あって、星空の映画祭のオリジナルグッズのイラストデザインを今回させていただきました。

缶バッジ

制作にあたり、先輩方のお話を伺いました。
その中で感じたこと、自分が感じる不思議な縁。

それぞれの物語が寄り集まって、どこか繋がっていって、そこから更に物語が紡がれていくような。それが星空のもとで、八ヶ岳の麓で起こっている。宇宙をなぞるようなイメージを持ち、そこを起点に自分の世界観を描かせていただきました。

たくさんの方に声をかけていただき、またひとつ物語ができたこと。
とても有難く思います。感謝。

これからも誰かの何かに届いていくようなものが作れたらと思います。

Profile

平岡幸恵

大阪府門真市生まれ。
京都の芸術系大学卒業後、画材店・印刷業などを経て原村へ。
好きなことは博物館や科学館、好きな作家さんの展覧会めぐり。散歩。
カタチや色を見たり、音楽を聴いたり、写真を撮ったり、図鑑を眺めたりすること。
自主制作ほか、イラスト・デザインなどしています。

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