キーワードは、「元猛烈社員」「元スピリチュアル・ジプシー」「ヴィーガン」「丁寧な子育て、暮らし」。
5年で30人から1000人規模へ成長を遂げたベンチャー企業にてシステム担当から広報、IR、経営企画、上場準備と幅広い分野をがっつり経験した事務系ジェネラリスト。出産を機に独立。2014年に八ヶ岳の西麓・原村に移住し、自然の中で丁寧な子育てを実践中。
一方で猛烈社員時代に迷走した経験から、「自分を深く知る」ことで軽やかに生きるためのサポートを様々な分野で行っている。
こんにちは。林美代子です。2月になり立春も過ぎたこの頃、八ヶ岳西麓にある我が家もマイナス二桁の朝を迎えるようになり、ようやく冬らしい日がやってきました。ついつい家で過ごすことが多くなるこの時期は、自家焙煎した珈琲でゆっくり過ごすのもささやかな贅沢ですね。
さて、今回は八ヶ岳で実際に「好きを仕事に」している素敵なママをお二人紹介いたします。
一人目は、「やじぺんキッチン」で活躍中の小池美紀さんです。美紀さんは、長野県の原村にある矢島ペンションのオーナーの娘さん。3人のお子さんのママです。
現在は、ペンションのお仕事を手伝いながら、ご自身の料理をランチ形式やお弁当、デリバリーなどで提供するサービスを展開中です。原村を中心に安全安心な食材にこだわり、「いつものごはん」の優しい味付けの美紀さんのお料理は年代を問わず人気があります。
美紀さんが、今のように「自分が作ったお料理を、たくさんの人に食べてもらう機会を作りたい」と思ったのは、なんと7,8年前。構想はあったし、やりたい気持ちも強かったけど、誰にも言えなかったといいます。
とにかく自分に自信がありませんでした。声に出すのが怖かったし、新しいことをいうのも恥ずかしくて。
と、美紀さん。そんな美紀さんのやりたかったことは、思わぬ形で実現していきます。
そんな美紀さんが、初めて「自分もこういうことやりたいんだよね」と口に出したのは、気のおけないママ友だちと話をしているときでした。
特に口に出すことで、何かを求めるつもりはなかったのですが、その時に口に出したことで、自分の気持ちを確かめられましたね。具体的にどうしたいのかも、いろいろ口から出てきました。
そして、何より友だちが「美紀ちゃんのご飯はとっても美味しいし、絶対必要としている人がいるよ!」と言ってもらえて、できるような気がしたのも大きかったです。
その後、美紀さんの「やりたいこと」はどんどん展開していくことになりました。
最初は友だちが講座でペンションを利用した後のランチ提供をする月に数回のペースで行っていたことが、定期的なランチ付きの講座開催、おいでなして原宿での毎週のランチ提供、イベントでのお弁当やデリバリーサービスなど口コミと紹介で着実に広がっていったのです。
最初は、いろいろと難しく考えていました。ハードルも無意識に自分で高く設定していたのだと思います。
でも、悩んでいることも、困っていることも、少しずつ周りに言えるようになりました。そうすると、誰かがアドバイスをくれたり、思わぬところにつなげてくれたりして、自然と解決することも多かったです。
そして、いつしか「難しいことをしないようにしよう」と、自分が今できることをやることに集中したら、とても楽になりました。そして、楽になると不思議といろんな話が繋がっていくようになったんです。
今では、様々な価値観の方に対応できるよう、ベジタリアン・ヴィーガン仕様のお料理も様々な工夫をこらしながら「いつもの美味しいごはん」として作り続けている美紀さん。
昨年は、小規模事業者持続化補助金事業への申請も行うことで発信体制を強化。自分のペースを大切にしながら、さらなる展開を目指しているということです。
これからは、家族や地域の方々をもっともっとしあわせにできるような活動をしていきたいと思っています。
好きなことがあって、それを仕事にしてみたいと思っている人には、ぜひ周りにまずは言ってみることをお勧めします。とにかく怖がらずに声にだしてみると、思わぬ繋がりができていくかもしれませんよ。
二人目は、「chikra(チクラ)」で活躍中の松本千鶴さん。千鶴さんは、8年前に長野県へ家族で移住。今は原村を中心に活動する3人のお子さんのママです。
現在は、「手仕事」をテーマにジーンズバッグや帽子、ふんどしパンツなどのご自身の作品の販売、手仕事のワークショップの開催や、クラフト作家が出店するワークショップの主催など様々な角度から丁寧な暮らしを提案していらっしゃいます。
明るくストレートな千鶴さんの人柄に多くの人が魅了され、いつも何かしらの活動に声がかかっている千鶴さん。最初は知り合いが誰もいない中での子育てが本当にきつかったと振り返ります。
子育ては孤独との戦いでしたね。親も親戚も友人もいない土地、自分の子育てが人からどう思われているかが気になって仕方なく、自信がなく…さらに貴重な今の時間を苦しいと思ってしまう自分への罪悪感もいつもあって。そんな中、お母さんたちに少しでもリラックスしてほしいから得意な手芸でイベントに出店してくれないかと声をかけてもらったのが、最初の活動のきっかけでした。
お母さんって本当に大変ですよね。もっと楽な時間があっていい。そして、ちょっと人と話すだけで楽になることは確実にある。そういう場がもっとあるといいと思ったんです。
友だちから誘われてイベント出店をしていくうちに、いつしかクラフト仲間たちとイベントを主催することも。だんだんと、自分が好きなことを仕事にしていきたいと思うようになった千鶴さん。そこに立ちはだかったのは、「ご主人の理解」でした。
ある日、自分がこういうことを仕事にしていきたいと夫に話したんです。そうしたら夫から、「お金もないのに好きなことをやるなんて・・・パートに出て稼いだほうが稼げるでしょ?」と反対されました。
確かに、その時はまだ売上と呼べるほどのものはありませんでしたが、理解してもらえないことが悲しかった。そして、「どうせ無理だろう」と決めつけられたような感じがして悔しかったですね。
しかし、反対されたことで、初めて具体的にどうしようか、自分が本当にやりたいことってなんだろうか・・・いろいろ本気で考えることになったと千鶴さん。「なんとなく」から「本気」になっていくことで、具体的な行動も増えていきました。
これから作品を作っていくために、発信するために・・・原村起業チャレンジ補助金の申請も行って作品作りに必要な高性能なミシン、ウェブサイトの制作も行ったのです。
もちろん、何度もぶつかりました。というか、わたしが溜め込んでいた感情をやっと夫にぶつけられたという感じでしょうか。その過程の中で、わたし自身が「好きなことをしてお金を稼ぐ」ことに対してうしろめたさを感じていたことにも気づくことができましたね。ようやく、わたしは好きなことを仕事にしていくんだ、と覚悟もできました。
自分の感情にも気づき、具体的な行動をしていく中で、少しずつ収入も増えていった千鶴さん。そんな千鶴さんをみてか、ご主人もだんだんと理解を示すようになりました。
夫もお金に対してとても不安が強かったんですよね。彼が抱えている不安に気づいてあげられたのも大きかったと思います。今は好きなことをしているわたしを夫が責めることはなくなりました。
今後は、子育てで苦しんでいる人や地域の人たちと一緒に手仕事の場づくりや、イベントをやっていきたいと展望を語ってくれた千鶴さん。好きなことを仕事にしたいママたちへメッセージは・・・
自分が進みたいときにあらわれる障壁は、とても苦しいものでもありますが、自分の思いに気づいたり、覚悟を決めたりと自分がやろうとしているものを確立させてくれることもあると思います。障壁があったときはぜひ向かい合ってみてくださいね。
いかがでしたでしょうか。好きなことを仕事に活躍しているお二人の経験と言葉、ぜひ参考にしてみてくださいね。
次回はいよいよ最終回です。変わらず全力でお伝えしたいと思います。お楽しみに!
小池美紀さんの美味しいお料理やお菓子をいただけます。お弁当からデリバリー、ランチの相談も。ヴィーガン対応も可能ですので、ぜひ相談してみてくださいね。
松本千鶴さんの思いがギュッとつまったウェブサイト。オンラインショップもあります。