HOME CULTURE & LIFE COLUMN vol.8 産む力、生まれる力を発揮したい!

人が産まれる姿を、人が人を産む姿を見たことがありますか?
人の亡くなる姿を見たことがありますか?

自分も産まれてきて、死んでいくのに、見たこともないし、考えたこともない・・というのが普通かもしれません。
私自身は幸いにも(?)看護師として命の現場にいたので、そこを見ずして仕事ができなかったのですが、幼い頃からから考えていました。きっと皆様もそうですよね。

畳の上で陣痛が始まったら、産婆さん(助産師)が駆けつけて介助してお産する。
畳の上で死ぬ、が病院で行うことに代わったのは、実は1960年代後半くらいからなんです。

第二次ベビーブームの1970年代頃には病院でのお産が当たり前となり、生まれたら管理のために親と子は離され、別室でみんな小さなコットに並べられて泣き叫び、三時間毎に一斉に授乳していました。
今は母子同室が当たり前になって、授乳も決まりの時間でなく赤ちゃんが欲しがるタイミングに戻りましたね。

死ぬほうはどうでしょう。医療の発達で延命治療も増え、自分で選べるような、選べないような・・・難しい時代にもなりました。

前回は息をひきとるときのお話でした。
今回は産まれるときのお話。私が初めて自宅出産をサポートさせていただいた時のことを書かせていただきます。

産婦人科クリニックを退職して自宅サロンを始めながら、クリニックのベビーマッサージクラスを担当していた時のこと。妊婦のAさんがSincerelyに身体のメンテンナンスに訪れました。

牧場での牛のお産の介助のお話、自宅出産した弟夫婦の話を聞いて、動物には、『産む力』がある。私も動物。必要なサポートをしていただければ『産む力』で私も産めるはず。『産む力』を発揮したい。

と1人目出産は神奈川県の助産院で水中出産。長野県に暮らしてから、二人目を妊娠し、自宅で産むために伊那の助産師さんを探して、同時に私の前勤務先のクリニックに通っているとのこと。
Aさんとは、神奈川県出身、同学年だけでなく、色々とご縁が深過ぎて驚き、初対面から意気投合。妊娠中のケアとお産のサポートをさせていただくことになりました。

産後の家事などのお手伝いも社会福祉協議会などのシステムも探しておき、自分なりに身体も整えていました。
私もご主人や娘さん、K助産師さんとも会わせてもらい万全な態勢。

予定日一週間前に一緒に映画地球交響曲を見てもうすぐだね~とお産の気持ちが高まったその夜中、「破水したよ~。」と連絡が来て、アロマテラピーの道具と足湯のセットを持ちお宅に到着。すでにご主人が用意した足湯に浸かり、準備してあったブレンドオイルの香りを嗅ぎながら、ゆったりと過ごしていました。

余裕の笑顔です。夜中なので私もノーメイク(笑)

助産師さんが駆けつけ、陣痛が少しずつ強くなっていきます。助産師さんは妊婦の状態、お腹の赤ちゃんの心音や収縮をしっかりと確認したら、外回りの準備を調えている間、みんなで交代で寄り添います。

陣痛は90秒以上続かないですし、必ず合間があるので、その時には会話を楽しんだりして、リラックスしています。

私もアロマテラピーのブレンドオイルで仙骨周りのマッサージをしながら寄り添います。息遣いやお腹の張りの状況、身体の力の入り方をみながら、静かに見守る時間。

夜中になり、長引く可能性も考え、交代しながら見ようとなり、私が席を外した数十分間の間に、しっかりとした陣痛に!収縮がしっかりと強く、ぐんぐん赤ちゃんがおりてきます。
急いでサポートのM助産師さんも呼び、上の子を寝かしつけたご主人を起こし、いよいよお産。

夫撮影・私たちは介助中

横向きで寝た状態で足を私が支え、ご主人の手を握りしめ、赤ちゃんと息合わせていきみます。赤ちゃんも一生懸命、回旋して産まれてきます。それを助産師さんが迎えます。

お母さんの胸の上で、おぎゃあ
あ、あ、おめでとう。ようこそ。
よくがんばったね。ありがとう。
ただただ愛しい。
あたたかな時間が流れました。

赤ちゃんが胸の上、お母さんは恍惚の顔。パパも愛しくて仕方ない。

そのあと、赤ちゃんの栄養を運んでいた胎盤が出ます。が、なかなか出ない。。赤ちゃんに、授乳してオキシトシンで子宮が収縮させ、待ちます。胎盤もゆっくりですが、無事に出てきました。

畳の上でお母さんと並んで産まれたばかりの2890gの男の子、パパと三人。赤ちゃんを嬉しそうに見つめるお姉ちゃん

助産師さんは産後の出血や子宮収縮、異常がないか、赤ちゃんの健康状態もしっかりと診て、また翌日も診察しに来てくださいます。
姉ちゃんになった上の子はお隣の部屋でグッスリ。朝起きてきたら、あれ??赤ちゃんがいる。。お母さんが寝ているお部屋になかなか近づけずモジモジ。

「どこから赤ちゃん出て来たの?」

日常の中で安心した場所で、二つの命が命懸けで産み、生まれてきて、みんなでお迎えし、産後もそのままゆったりと過ごす。平和な時間が流れていました。

命の力を発揮した姿がとても美しく、前回のおばあちゃんの旅立ちの時と、同じように、ありがとう。がんばったね。ありがとう・・・と母と子に愛しい気持ちが溢れます。

この地域でも助産師さんのチームでサポートして自宅出産される方もいらっしゃいます。
自分の身体が健やかであること、家族のサポートも必要ですし、今は、近所に嘱託医がなくやや遠方になってしまうので、近くの医師と連携とれるように助産師さんたちも私たちも地道に繋がり信頼関係を築きながら活動しています。

もっともっと産む力も、生まれてくる力も、旅立つ力も、今を生きる力も、発揮させることができるといいな~と思っています。
それには本人も、家族も、医療者も地域も、これからの社会のことも、みんなで考えていきたいなと思っています。

お産をともにしたAちゃんと。家族のこと、自分自身のこと、なんでも話せる信頼関係です。娘ちゃんは高校生、息子くんは中学生、ママは大学院生です(笑)

二人ともテレパシー能力(?)なくらい、ビビビッとよいタイミングで現れます。これは妊娠中に関わった方とはかなりの確率で思い出すと連絡が来ます。深い末永いご縁になってしまうのでした(笑)

頭蓋仙骨療法、アロマセラピスト、ベビーマッサージアドバイザー、看護師
藤森朋子
様々な自然療法にて茅野市の自宅「Natural care house Sincerely」でオリジナルの施術、教室開催や講師を招いての講座の企画運営。 行政、地域、企業、医療業界などへ、母子保健事業のマタニティ、ベビ-マッサージクラスや、企業へのメンタルヘルスなど、赤ちゃんこども妊娠出産産後、働き盛り、高齢者まで全世代向けに病気になる前に家庭で対策をとれるようにアロマテラピーやセルフケア方法、心と身体のつながりを伝えている。その他「産声をあげるとき息をひきとるとき」をテーマに、生きることをともに感じ、考え、育んでいく講演会、地域活動、お話し会を仲間と開催している。
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